鋭い霜月の夜にて

すし詰めの人のせいでくもった電車の窓ガラス。ブタ箱。醜いほどに自分勝手な大人達。外から身体を強引に押し付けられて痛かった。

 

鋭い空気が僕の体温を少しずつ奪っていった。

初めて接する人に挨拶。

無愛想にベック。誰か歌っていたのを思い出した。

 

仕事を終え疲弊しきった身体にムチをあてレコーディングへ向かう。なんだかんだ音楽を愛してしまっているのだろう。

 

12時半頃に終了。終電はとうに無くなっていた。れんたろうと家まで30分かけて夜の東京を歩いた。相変わらず鋭い空気が漂っていた。今日も誰かのゲロがキラキラ光っていた。

 

まっすぐな性格を文学的に表現するのは誰にでもできる事ではないだろう。

白状な凡人は不満を垂れつつ気恥ずかしさを抱えて、そう思いながら眠りについた。

 

SONIC DEAD KIDS

東横線で帰路に着く。

今日で22歳になった。

特になにかが変わったわけではないが家族や友人から誕生日おめでとうなんて言われちょっとしたプレゼントやらを貰うとなんだかあーおれは生きていたんだなーと思う。その日限りのちっぽけな幸福感を感じてしまい誕生日に死んでしまうのも悪くないかもしれないと少し思ったりもした。

実をいうとここ最近は昔の空虚感や絶望感があまり自分を支配しなくなっていた。

人とはないものねだりでありあの時にしか作る事や感じる事のできない事があったのかもしれないと思い自分が不安になった。

22歳になっても素直になれないのは変わらないままだが素直に生きていけるならこんな道にはそもそも進んでなんかいないという思いは変わらず生きていけているだけで十分だ。

 

なんて書いている間に日付も変わってしまっていた。車窓には雨粒が電車の動きに合わせて踊っていてよく見ると窓にうつる自分を含め全員の姿も同じように踊っていた。

Sonic Dead Kidsを聴いて踊る。

なんだか今日は疲れた。

 

心を病んだ若者は嘘つき群れる痛みそれでもなぜか救いの雨を待っている。だってさ。

 

バイト前

カノン進行にギターソロを乗せるのがものすごく苦手みたいだ。どうにか奇妙な雰囲気にできないかとあれこれ試行錯誤してみるがどうしても明るい雰囲気になってしまう。

まぁ仕方がないかと妥協しながらも頭を悩ませる。自分で考えた物にときめく事ができないのは何故だろうと考えてみるが答えなんて出るはずもなかった。

コーヒーを飲んでバイトへ向かう。今日もバイトバイトバイト。節約の為に早めに店に着いて廃棄を頂く。

今月もお金がないのでまた頭を下げなくちゃいけないのかと思うと辛くなる。

もう少しなんだけどなー。。

 

自堕落に相応しい人生を送り続けてきたのだからいつか報われると信じて今日も消費期限切れのパンをかじる。

風邪をひいてしまってベッドに横になっていると自己嫌悪に陥ってしまう。

表現なんてものがものすごく虚しい存在に思えてきてじゃあなぜ自分は生きているのかがどんどん不透明になっていく。

明るく元気いっぱいの音楽が無性に腹ただしくなってきてどうしても受け付けなくなってくる。

もしいま目の前で明石家さんまが笑っているのを見たら殴りかかってしまいそうだ。

 

人を本当の意味で理解できっこないのが人間でそれでも自分から比べてしまうのも人間なんだろうな。

二度付けの人生

久しぶりって言ってくる奴にどんな感情を抱くのかコーヒーと一緒に想像しながら帰省の日をなんとなく心待ちにしている。

曜日感覚日付感覚をないがしろにして過ごす毎日だった。気付けば服を重ね着して街を歩いてる僕にとってはとても久しぶりに別世界に身をおろせる感覚だ。どうせ地元に帰っても2日目には曲やバンドの事で頭はいっぱいになるのだが

帰省しますと高々に宣言はしているものの公共料金を払うため銀行にお金をおろしに行くともう帰省なんてしている場合ではないと気づく。

小学校低学年にだってこの残高で今月を乗り越える事ができないと瞬時に理解するだろう。

イジメられている同級生を横目に通りすぎるように家の郵便ポストをひそひそと通りすぎる日々を過ごしていたせいで気付けば払えっこない金額にまで膨れ上がってしまった。

 

憂鬱な気分になりながらもコーヒーを飲んでなんとかリフレッシュしようとする。帰りのコンビニで缶チューハイを取ってしまった右手を切り落としてしまいたくなった。たかがコンビニに入ってもまず値段を見るようになってしまったのはいつからだろうか。

100円ぽっちのポテチさえ取るのにも自分を殺しているような感覚におちいる。

 

そんな事は言っていられないし考えていられないと少年マンガの主人公ばりのポジティブ発言をしてみるがどう考えてもそんな事言っている場合だった。吸い殻の中からまだ吸えそうなタバコを探して火をつけてアンプにギターを繋げる。パソコンを開いている間に火がフィルターを燃やしている匂いがしたので物足りなさを感じながら再び灰皿に返却した。

 

ひと通り音の確認とソロパートを考え終わりベッドに倒れこむ。

 

帰省する服がない事を思い出して洗濯機を回す。

ぐるぐる回る洗濯機。ぐるぐるぐるぐる色んな物が回り出して吐き気がした。

僕はどこに向かっているのか

人と当たり障りなく話す事が増えるほど僕は自分の心を少しづつ削っていくような感覚になる。

家の周りをただずっと練り歩く。東京に来てよかったのは散歩中に知り合いに絶対に合わない事だ。歩き始めてすぐは夕日を探してどちらが家の方向でいま自分がどのあたりにいるかおおよそ把握していたが酒を買って歩き始めだした頃になるともうここが何処なのかさえも分からなくなる。ふらふらになりながらただ気ままに歩く。アルコールを勢いに任せて喉に流し込む。

酔ったフリをする。

吐き気がする程不味い。もう飲みたくないけれど、酔ったフリをする。

閉まった踏切に取り残されてびっくりして出口に向かって走る。拍子抜けだ。酔っ払ってやなんかいない。

それでも酔ったフリをする。

正確に言うならば自分に酔っ払ったフリをする。そんな自分が死ぬほど嫌になるけれどそれ以外どうすればいいのか分からなくなる。

なにが嫌でこんなにも繕ってしまうのか自分でも分からないけれど少しでも正気を保つ事に疲れてしまう。

目の前の課題が嫌になるのか、取り組んでも納得いくようにできないからなのか。

そもそも納得いくように出来るわけがないと歩きながら考え始めた。

自分が憧れるアーティストってゆうのは自分にないものを持っているから憧れてしまうんじゃないだろうか、人は自分にないものに惹かれてしまう物なんじゃないだろうか、自分と似た人間は同族嫌悪で嫌ってしまうんではないだろうか、という事はそもそも憧れる人のような音楽なんて出来る訳がないんじゃないんか、だって最初からアコガレって言ってるし、僕はいったいどこに向かっているんだろうか。

 

レイは考え過ぎだよって優しく言ってくれた君に当たり障りなくそうかなーって返事をしてまた心が削れていってそれでなにかが変わると思ったのかとか考えてしまって、人と会うからって言って電話を切ってまたただ1人で練り歩く。

 

いつも通りだけど何も得ることはないまま家に帰ってきてシャーロットe.pを聴きながら低い天井を眺めた。眠れず、ただ眺めた、ドラマみたいに天井に何かが見える事もなければ誰かの顔が浮かんでくる事もない、ただ眺めた、白くて低い天井を。

僕はどこに向かっているのか。

 

20170829

駅の広場には多くの人が各々の目的の為に歩を進めていて誰も僕の前に立ち止まろうとしなかった。遠くの方から視線を突きつけて歩き横切る時になったら視線を外して前を向く。そしてそのまま去っていく。そんな繰り返しの中僕は手に鈍い嫌な汗をかきながら必死になって何かを歌っていた。Amkeyの歌詞もまだ作っていないこの曲が終われば帰ろうとAm7 FM7 G6 CM7とありきたりなコード進行を弾き始めた時もうどうにでもなればいいと思った。目をつむりながら歌っていると何だか泣けてきてワンコーラスで弾くのをやめてしまった。

 

目を開けるといつもの低い天井がいつものように僕を圧迫していた。涙は確かに出ているがここが駅ではない事ははっきりと理解できた。

重たい身体を起こして冷蔵庫に入れ忘れた机の上のペットボトルのお茶をそのまま口をつけて飲んだ後タバコに火をつけて煙と一緒にため息をついた。

すぐに動く気になれずベッドに横になっているとそのまままた眠ってしまった。こうゆう時の寝起きはいくら寝ていても眠くなってしまう。何度も何度も短い間隔で起き続けた。そんなに現実を生きるのが嫌なのかと自分でも思うほどに30分間隔で現実と夢を行き来した。

 

お昼をとうに過ぎた頃やっと起き上がり適当な服をきて外に出た。音楽を聴きながらゆっくりと歩き自分の中のアイデアを少しづつ具現化していく。ぐるっと適当に歩き終えたらいつものカフェに行きノートを開いてそれを書き記していく。休みの日の日課になりつつあるが、そう毎回上手くはいかない。何も思い浮かばない事がほとんどでカフェについてもノートを広げる前にコーヒーを全て飲み干してしまう。どうやら今日もその日らしい。結局なにもしないままただ250円を払って天井の低いいつもの部屋に戻った。

 

コンビニから持って帰ってきたざるそばを食べた後なんとなくシャツを匂ってみると汗の匂いが染み付いていた。そういえばここ3日ほどシャワーを浴びていなかった。シャワーを浴びながら今日はレンタロウの曲を編曲しようとコードをたどってみるがどう考えてもカポが必要だ。毎回分かってはいたが悪い癖でバレーコードで済ませようとしてしまう。髪の毛を乾かした後すぐにカポを買いに家を出た。半ば無理やり外に出たがこうゆう強引さも時には必要なのだと感じた。風呂上がりで火照っていたせいでシャワーで流した汗だけがすぐに元どおりになってうんざりした。

求めぬ物が戻ってきて求める物は何1つ元どおりにならないまま急行渋谷行きに揺られた。窓に映る自分と奥の景色を交互に何度も何度も焦点を変えながら