僕はどこに向かっているのか

人と当たり障りなく話す事が増えるほど僕は自分の心を少しづつ削っていくような感覚になる。

家の周りをただずっと練り歩く。東京に来てよかったのは散歩中に知り合いに絶対に合わない事だ。歩き始めてすぐは夕日を探してどちらが家の方向でいま自分がどのあたりにいるかおおよそ把握していたが酒を買って歩き始めだした頃になるともうここが何処なのかさえも分からなくなる。ふらふらになりながらただ気ままに歩く。アルコールを勢いに任せて喉に流し込む。

酔ったフリをする。

吐き気がする程不味い。もう飲みたくないけれど、酔ったフリをする。

閉まった踏切に取り残されてびっくりして出口に向かって走る。拍子抜けだ。酔っ払ってやなんかいない。

それでも酔ったフリをする。

正確に言うならば自分に酔っ払ったフリをする。そんな自分が死ぬほど嫌になるけれどそれ以外どうすればいいのか分からなくなる。

なにが嫌でこんなにも繕ってしまうのか自分でも分からないけれど少しでも正気を保つ事に疲れてしまう。

目の前の課題が嫌になるのか、取り組んでも納得いくようにできないからなのか。

そもそも納得いくように出来るわけがないと歩きながら考え始めた。

自分が憧れるアーティストってゆうのは自分にないものを持っているから憧れてしまうんじゃないだろうか、人は自分にないものに惹かれてしまう物なんじゃないだろうか、自分と似た人間は同族嫌悪で嫌ってしまうんではないだろうか、という事はそもそも憧れる人のような音楽なんて出来る訳がないんじゃないんか、だって最初からアコガレって言ってるし、僕はいったいどこに向かっているんだろうか。

 

レイは考え過ぎだよって優しく言ってくれた君に当たり障りなくそうかなーって返事をしてまた心が削れていってそれでなにかが変わると思ったのかとか考えてしまって、人と会うからって言って電話を切ってまたただ1人で練り歩く。

 

いつも通りだけど何も得ることはないまま家に帰ってきてシャーロットe.pを聴きながら低い天井を眺めた。眠れず、ただ眺めた、ドラマみたいに天井に何かが見える事もなければ誰かの顔が浮かんでくる事もない、ただ眺めた、白くて低い天井を。

僕はどこに向かっているのか。